不動産の相続登記(名義変更)は以前から司法書士が得意としてきた分野ですが、最近ではその他の財産のお手続きも取り扱う司法書士が増えてきました。当事務所も不動産のみならず、預金等の相続手続きもお手伝いしております。
令和6年4月1日から、相続登記申請が義務化されました!
以前は放置していても特にペナルティのなかった相続登記ですが、これからは相続を知った日から3年以内(既に相続した不動産については令和9年3月31日まで)に登記しなければなりません。亡くなった方に名義が残ったままの不動産がある場合は、一度お近くの司法書士までご相談下さい。もちろん、当事務所でもご相談を受け付けています。
おおまかに、相続手続きは下記のように進めていきます。
※遺言書がある場合は手続きの流れが変わります。当事務所にご相談いただいた際も、最初に遺言書の有無を確認させていただきます。
まず、相続人が誰であるかを特定し、それを証明する書類を取得する必要があります。被相続人(亡くなった方)住民票の除票と、被相続人の死亡から出生まで遡る全ての戸籍(戸籍・除籍・改製原戸籍の謄本)を取得します。戸籍は転籍、婚姻、法律の改正などにより新たに作成されますが、親族関係の変動(子供の出生、子供の結婚、離婚等)はその時点で使用されている戸籍のみに記録されます。新しい戸籍には、古い戸籍に記録された親族関係までは反映されないということです。したがって相続人=親族関係の確認のためには出生が記録された戸籍から、何度作成された新しいものの戸籍、そして死亡が記録される戸籍まで、すべてのものが必要であるということになります。
取得した戸籍から、誰が相続人であるかを確認します。法律で相続人と定められているのは次の人になります。
【第1順位】直系卑属:子、被相続人が亡くなる前に子が亡くなっていた場合は、さらにその子(被相続人の孫)
【第2順位】直系尊属:両親、両親がすでに死亡していて祖父母が存命の場合は祖父母)
【第3順位】兄弟姉妹
【その他】配偶者:夫または妻。
順位が上の人が優先的に相続人となります。配偶者は、第1順位または第2順位もしくは第3順位の人と一緒に共同相続人となります。
<法定相続情報一覧図について> |
相続人が確定できる資料が揃った段階で、法定相続情報一覧図という書類の作成を法務局に申請することができるようになります。これは戸籍一式を確認して法定相続人が誰であるか法務局が証明し、それを家系図や一覧表のような形式の証明書にして無料で発行してもらえるという制度です。出生から死亡までの戸籍一式となると何通にもなることもあり、また、読むのにも時間がかかりますが、法定相続情報一覧図にすれば通常1枚で、一目で法定相続人が把握できるようになります。 |
銀行預金の相続手続等で、まれにではありますが戸籍謄本類の「原本」の提出を求められる場合があります。戸籍の取得には費用が掛かりますが、法定相続情報一覧図であれば無料で発行されます。また、相続手続きになれた銀行員の方などであっても、戸籍の確認には時間がかかるものです。時間や費用の軽減のため、必要な戸籍の通数が多い場合には法定相続情報一覧図の取得もご検討ください。 |
戸籍は戦前から作成されているものであり、中には読みにくいものや法律知識がないと内容がわかりにくいものもあります。当事務所での代行取得も可能※ですので、是非ご相談下さい。法定相続情報一覧図の作成・法務局への申請も代理可能です。
※相続登記または法定相続情報一覧図の作成を同時にご依頼いただくことが条件となります。
不動産の登記記録や被相続人名義の預金通帳などを確認し、相続財産の内容を確認します。遺品から把握しきれない場合は、例えば預金であれば銀行支店窓口で問い合わせる等により、被相続人の財産を把握します。また、相続分に影響の出る生前贈与などの記録がないかも同時に確認します。
※財産の価格によっては相続税がかかる場合もあり、その申告の準備も必要となります。詳しくは税理士や所轄の税務署にご相談下さい。必要であれば提携する税理士の紹介も可能です。
なお、借金などマイナスの財産が判明した場合は相続放棄も検討した方が良いかもしれません。下の「被相続人に借金があった場合」も併せてご覧ください。
「遺産分割協議」というと大袈裟に聞こえてしまいますが、どの財産を誰が承継するかの相談のことです。「それぞれの財産を法定相続分で分ける」「実家はお母さんで預貯金は子供」「全部長男が引き継ぐ」など様々なパターンが考えられますが、注意すべきは相続人全員が協議に関わらなくてはならないということです。
協議の結果は「遺産分割協議書」として記録します。これには相続人全員が署名・押印(実印)する必要があります。
遺産分割協議書は当事務所で作成可能です。話し合いの結果をお伝えいただければそれを書面の形式に整えますので、相続人の皆様で内容を確認し、署名・押印下さい。
なお、司法書士は特定の相続人の代理人として協議に参加することはできません(弁護士の業務の範囲内となります)。話し合いの場に同席することも可能ですが、それはあくまで中立的に、法律や書類の説明をするのみの役割となります。
法務局に所有権移転登記(名義変更)の申請をします。①戸籍類一式または法定相続情報一覧図(「1.相続人の確定」で取得した書類)②遺産分割協議書③相続人の印鑑証明書③不動産を取得する方の住民票④不動産の評価証明書または固定資産税の納税通知書を揃えて申請書等を作成し、必要な収入印紙を貼付して法務局に提出します。申請後通常2~3週間程度で手続きが完了し、登記識別情報通知(いわゆる権利証)や登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)の確認ができるようになります。
印鑑証明書以外の書類は司法書士で作成や代理取得が可能です。法務局への申請手続きも行います。
したがって、印鑑証明書をご用意いただければ、あとは司法書士の作成した書類に署名・押印するだけで相続登記に必要な書類を揃えることも可能です。
複雑な手続きは青野司法書士事務所にお任せください!
預貯金、株式、自動車など、不動産以外の相続手続きも「1.相続人の確定」から「3.遺産分割協議」までほぼ同じ流れで進めます。「4.相続登記手続き」に代わってそれぞれ金融機関や証券会社等に名義変更手続きや解約・払戻し手続きをすることになります。
預貯金や株式等の有価証券の手続きについては当事務所で代理可能ですが、自動車の名義変更など司法書士ではできない(行政書士の領域となる)分野もございます。司法書士でできないものは他の専門家をご案内いたします。
相続は亡くなった方の全財産を承継する制度です。この「全財産」にはマイナスの財産も含まれます。プラスの財産だけ相続し、マイナスの財産は相続しないということはできないため、相続により借金だけが残ってしまった、ということも考えられるのです。
「相続放棄」という言葉を聞いたことがある方は多いと思います。単に財産を受け取らないことをこう呼ぶ方もおられますが、法律(民法)上は家庭裁判所に相続の放棄の申述をすることを指します。相続放棄をすると、初めから相続人とならなかったとみなされ、プラス、マイナスを問わず一切の財産を相続しないこととなります。
相続放棄するには条件があり、①自分が相続人となったことを知った時から3か月以内である②相続財産の処分をしていない ことが必要です。ただし、①については期間の伸長を裁判所に請求することもできます。
当事務所では相続放棄申述書作成の代理を行っております。戸籍謄本等の必要書類の代行取得も可能です。
また、マイナスの財産(借金等)とプラスの財産(預貯金等)がそれぞれいくらあるかわからず、相続放棄すべきか判断できない場合、相続財産の調査も代行いたします。